海水魚が飼育されている水槽で必ずと言っていいほど目にする紫色の岩。
この岩はただの岩ではありません。
その正体はライブロックといい、海水飼育には欠かせない存在なんです。
今回はそんな海水飼育には欠かせないライブロックについて解説していきたいと思います。
ライブロックとは?
ライブロックとは、読んで字の如く生きている岩です。
主に珊瑚礁の死骸などが風化したものに、長い年月をかけて海中の様々な微生物が棲みついた岩のことを指します。
この生きているというのがポイントで、ただのレイアウトとしての岩ではなく、入れることで様々なメリットがある岩がこのライブロックなのです。
主に沖縄などから1kg数千円で販売されており、後ほど解説しますが、紫色が濃いものや沢山の付着物が付いたものは高値で取引される傾向があります。
では、海から拾ってきて水槽に入れてしまえば良いのではと考えた方もいるかと思いますが、ライブロックの採取は漁業法により禁止されていて、違反すると最高で罰金200万円、もしくは3ヶ月の懲役が課せられる場合があります。
ライブロックは、お近くのアクアショップなどで購入するか、通販などから購入しましょう!
ライブロックを入れるメリット
海水水槽にライブロックは無くても飼育は可能ですが、多くの方々が水槽にライブロックを入れるには理由があります。
水質浄化
生きている岩なので、目には見えないバクテリアが大量に棲み着いており、水質の浄化作用があります。
水槽の立ち上げ時にバクテリア剤を入れたりするのと同じように、水槽にライブロックを入れると勝手にバクテリアが繁殖し水質を安定させてくれます。
実際に水槽にフィルターなどのろ材を使用せずに、ライブロックの浄化作用のみで水槽を維持するようなシステムがあるほどにこのライブロックの浄化作用は強力なのです。
インテリア性
ライブロックを水槽に入れるだけで、海っぽさを演出する事が出来ます。
殺風景な水槽よりは海の雰囲気がある水槽の方が良いですよね。
ライブロックを入れる事で簡単に自然の海を再現することが出来るだけでなく、インテリア性も向上します。
良いライブロックを選ぶポイント
ライブロックは1kg数千円で取引されていますが、大型の水槽ともなるとそれなりの金額になってしまいます。
せっかく購入するのならば、なるべく良いライブロックを購入したい方のためにライブロックを選ぶポイントをいくつかご紹介します。
多孔質なもの
ライブロックにはバクテリアが棲み着いているので、なるべく多孔質なものを選びましょう。
フィルターに入っているろ材と同じ様に、ツルツルしたものよりかは、小さな穴が無数に空いていてゴツゴツした多孔質の物の方が水に触れる表面積が増えるだけでなく、沢山のバクテリアが棲みつくことが出来る為です。
石灰藻が多く付着しているもの
ライブロックに付着している紫色の正体はこの石灰藻と呼ばれるものです。
石灰藻は藻類の一種ですが、見た目の良さはもちろんのこと良質なライブロックに多く付着する傾向があるので、石灰藻はライブロックのバロメーターとしての役割があります。
石灰藻が付着する条件は様々ですが、良いものが付着するということはその環境も良いということに繋がるので、当然ライブロックも上質なものになります。
ライブロック入荷しました!
キュアリング済みの綺麗なライブロックです! pic.twitter.com/FrUjONuCIv— ズーズーカンパニー アクアイズム (@AquaismSendai) February 6, 2014
白っぽいものや茶色っぽいライブロックはあまり選ばないようにし、紫色の石灰藻が多く付着したものを選ぶようにしましょう。
匂いに注意しよう
ライブロックは生きている岩なので、中には死んでしまっている岩もあります。
ライブロックの匂いを嗅いで、正常であれば海や磯の香りがしますが、たまごが腐ったような腐乱臭がしたら要注意です。
ライブロックには無数の付着物が付いているので、中には輸送のダメージや環境に馴染めずに死んでしまう付着物もあります。
この死んでしまった付着物が処理、分解されずに残ってしまうと腐敗してしまい、卵が腐ったような匂いを放ちます。
せっかく水質を良くする働きのあるライブロックでも、死んでしまったものを入れると逆効果なので腐乱臭がするものは選ばないのが無難です。
導入する前に
ショップや通販などでライブロックを購入してきて、直ぐに水槽に入れたいところですが、処置をせずに水槽に入れてしまうのは危険です。
以下でご紹介する方法を行うだけで、水槽内の水質悪化やトラブルを未然に防ぐことが出来るので、試してみて下さい。
キュアリングしよう
ライブロックには無数の生きた付着物が付いていますが、その数パーセントは輸送中に死んでしまいます。
そんな余分な付着物を水槽内に入れる前に取り除いてしまおうというのが、このキュアリングです。
キュアリングのやり方は至って簡単です。
まず海水を作るか、水槽の水を使ってライブロックを海水に浸します。
プロテインスキマーがあれば、稼働させ1日ほどそのままにして放置します。
スキマーの汚れ具合や水の汚れ具合をみて問題なさそうであれば、軽く海水ですすいだら水槽に入れてしまって大丈夫です。
ライブロックによりますが、丸1日キュアリングすれば大抵のものは綺麗になります。
プロテインスキマーがない方は、強めのエアレーションを用意して、ライブロックの下から稼働させれば代用出来ます。
観察しよう
ライブロックは無数の生き物や付着物が付いている為、水槽に良い働きをするものばかりが付着しているとは限りません。
中には既存の生体や珊瑚に悪影響を及ぼすものが付着していたり、棲みついている可能性があるので水槽に入れる前に取り除く必要があります。
先程解説したキュアリングと少し似ていますが、キュアリングは腐敗物や目に見えないようなものを取り除くのが目的ですが、こちらは目に見えるものを取り除く目的です。
方法は至って簡単で、とにかく念入りに観察するだけです。
ライブロックの形成によっては暗くなって見えづらい箇所もありますが、明るく目につく所よりもそういった暗くなっている見えずらい箇所にこそ、生き物は棲みついているので懐中電灯などでよく観察し、見つけた場合はピンセットなどで取り除きましょう。
以下でライブロックに潜む害虫について詳しく解説します。
害虫
目に見える有害な付着物や生物は様々ですが、代表的な種類をあげるとカニ、エビ、シャコなどが挙げられます。
カニ
ライブロック内部に幼体で侵入し、魚の食べ残しなどを食べて大きくなります。
主に毛ガニの仲間が多く、鋭いハサミを持っているのが特徴です。
小さいうちは害がありませんが、大きくなるとライブロックの岩組を崩してしまったり、珊瑚を食害してしまいます。
テッポウエビ
テッポウエビの一種 左右のはさみは形が異なり,大きな方は破裂音を発することができる.沿岸の浅海,潮間帯の砂泥部に生息している pic.twitter.com/MaPenUg06h
— 浅虫生物アーカイブ (@Asamushi_BioAr3) March 11, 2020
海水のエビはヨコエビなど水質に良い働きをしてくれたり、スカンクシュリンプといった生体の寄生虫を捕食してくれるような良い働きをするエビもいますが、ライブロックに潜むテッポウエビと呼ばれるエビは例外です。
このテッポウエビはライブロックに穴をあけて巣穴を作る習性があります。
ライブロックに穴をあけるときに発する「パチンパチン」という音が特徴で、水槽内から聞こえたらテッポウエビがどこかに潜んでいる可能性大です。
生体を襲ったりすることは基本的にはありませんが、水槽から「パチンパチン」と音がするのは結構不自然な気分になります。
日中ならあまり気にはなりませんが、夜中にもお構いなしに音が鳴るので、水槽の設置場所によってはストレスになってしまう可能性があります。
シャコ
こちらもテッポウエビとほぼ同じような習性を持っていますが、テッポウエビと大きく異なる点は自ら生体に襲いかかる点です。
小さなうちは殺傷力もたいしたことはありませんが、大きくなるとある程度の大きさの生体なら簡単に仕留めてしまうので、発見したら即座に取り除きましょう。
導入後
水槽に入れる前に駆除出来るのが理想ですが、完全に防ぐことは難しいでしょう。
紹介した生体に共通する点は、基本的には夜行性なので日中にはあまり姿を表しません。
日中はほとんど姿を見せないので、夜中に懐中電灯などで水槽を照らしてみると発見出来る可能性が上がりますよ。
捕獲するのは容易ではありませんが、棲みついている場所の目星が付いたらライブロックごと取り出し、水槽の外で処理すると比較的簡単に捕獲することが出来ます。
まとめ
以上、ライブロックについて解説させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
海水水槽でよく目にする岩もただなんとなく入っているわけではなく、ちゃんとした役割があり、飼育をサポートしてくれる頼もしい存在なんです。
導入前には水槽に悪影響を及ぼさないように準備が必要ですが、上手く導入出来ればもっと快適な水槽を楽しむことが出来るかもしれません。
是非、ご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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